ドイツでは涼しい秋風が感じられる今日この頃ですが、クオーレ・ド・オペラの皆様はいかがお過ごしでしょうか。
私は昨年8月より、7年間のイタリア生活に終止符を打ち、ドイツ北西部、ノルドライン・ヴェストファレン州のオペラ研修所で研鑽を積んでいましたが、この8月からは同じ州にあるゲルゼンキルヒェンという街の劇場の専属コレペティトアとして新たな一歩を歩み始めました。サッカーにお詳しい方でしたら、シャルケ04のある街、と言えばお分かりになるかもしれません。決して大都市ではありませんが、劇場は15人の専属歌手を抱え、年間250以上の公演が行われており、街の人々の誇りとなっています。
このところ私が担当しているのはモンテヴェルディの《オルフェオ》とヘンデルの《ジューリオ・チェーザレ》で、イタリアでの経験を存分に活かして働くことができ、大変嬉しく思っています。その後はお能《隅田川》をもとに作られたブリテンのオペラ《カーリュー・リバー》が続く予定で、祖国日本の伝統芸能についても今一度勉強し直す良い機会となっています。
ドイツも他の欧州諸国同様、Covid-19の大流行に見舞われ、私自身も3月上旬から5月半ばまで、リハーサルも全く無く、家からほぼ出ずに過ごしました。リハーサルの再開時に歌手と対面でアンサンブルが出来た喜びや、久しぶりにグランドピアノを弾いた時の感覚は、あれから3ヶ月以上経ってもなかなか色褪せません。
ゲルゼンキルヒェンの劇場では、9月5日から、演奏者、観客共に大幅な人数制限を行った上で新シーズンの公演が始まります。劇場に来ることを心待ちにしてくださっている街の方々のご期待に添えるよう、また、劇場がポジティブなエネルギーで満ちるよう、私達にできるベストを尽くしたいと思います。
なかなか先行きが見えず、合唱団やオペラ団体の活動にも多くの制限がある日々が続きますが、一日も早く以前のようにオペラができる日々が戻ってくることを、そして、クオーレ・ド・オペラの皆様とその大切な方々がお元気でお過ごしであることをお祈りしております。またどこかで一緒に演奏できますように。
斎藤優奈
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